祖父と父は、浅草の老舗「弁天山美家古寿司」 で修行を積んだ寿司職人です。
祖父は「助六」、父は「花川戸寿司」という屋号で、それぞれの時代を生き抜いてきました。
私は父が新宿で店を構えていた頃に新宿で生まれ、
平日は新宿、週末は浅草で過ごす少年期を送りました。
二つの町を行き来しながら育った時間は、後になって気づけば、
日常と原点を同時に持つ感覚を私の中に残しました。
寿司職人の家に生まれながら、
私は同じ道をそのまま継ぐことはありませんでした。
若くして起業し、わずかな成功と数々の失敗を経験しました。
身体が思うように動かなくなり、生きることそのものを問い直した時期もあります。
それでも、人生は終わりませんでした。
遠回りを重ねた末、マグロ解体 という仕事に出会います。
巨大な命を前に刃を入れる。
人が集まり、空気が変わり、会場が沸く。
その瞬間を何度も目にする中で、はっきりと理解しました。
これは作業ではない、文化だと。
人を斬るために磨かれてきた技は、命を繋ぐためにも使える。
刀を包丁に持ち替え、命を奪う技を、命を活かす技へと転じる。
その思想は
やがて 「マグロ開体演舞」 となり、
舞台、地域、教育、慰問の場へと広がっていきました。
私は、自分の活動を単なるエンターテインメントだとは考えていません。
命を見つめ、人を沸かせ、日本の心を次の世代へ手渡す。
そのための表現であり、仕事だと思っています。
還暦を迎えた今、私は人生を完成させようとは思っていません。
積み上げてきたものを言葉にし、形にし、未来へ手渡す。
そのために、この場所に自分の生き様を置いています。
命を解き、人を沸かせ、日本の心を文化として未来に繋ぐ。